兄弟やご子息など身内が後見人になった場合は無報酬、つまり無料で援助をする ことがほとんどなのですが、知識も経験も豊富なプロにお願いするのならタダで 引き受けてくれるほど世の中は甘くはありません。 何かを購入すれば代金を支払いますし、仕事を依頼すれば報酬は発生します。 弁護士や司法書士に動いてもらうのでそれなりの報酬を支払うことになります。 裁判所から選任される時に決められますが、被後見人の所有している資産額や どれだけの業務をすることになるかを考慮して報酬は算出されるので、法外な額 を請求されることはないでしょう。 これから後見人を探すことになるかもしれないと心配している方も多いでしょうし、 およその目安を知りたがってウズウズしているかもしれませんから教えてあげます がだいたい月額で20,000円からその10割増しが標準的な報酬額のようです。 これを高いと考える人はあまりいなさそうですし、妥当なところかと思います。 資産管理をしなければならないほど裕福な方なら苦もなく支払える額ですし、 よほどの資産家でない限りは後見人の手を借りまくることもありませんので、 このようなリーズナブルな相場となっているのでしょう。 年に20万円〜30万円、あるいは50万円ほどで司法書士の先生に面倒をみて もらえるのですから少し安い気もしちゃいますが、裁判所が決めた金額なので 誰も文句を言うことはできないでしょう。
身内に後見人にうってつけの人物がみつからない、遠方にならいるんだけどいつ でも助けに来れる親類の中には後見人の器を持つ人がいない、という時にプロで ある弁護士や司法書士の先生にお願いするわけですが、彼らが後見人になると どんなメリットが発生するのでしょうか。 まず専門家であるため、なにをすべきかを心得ており素人がやるよりも確実に 効率的に業務を遂行してくれることが期待できます。 資産に関わる手続きなんかも多いのでその辺の親類では手に余ることも多いの ですが、慣れている専門家ならテキパキと完遂してくれるでしょう。 裁判所とのやりとりもちょくちょくするかもしれませんが、これも一般人に毛の 生えた程度の素人後見人には荷が重過ぎますが、弁護士さんなら余裕です。 業務の質もスピードもプロにはかないませんから、その点では大きなメリットが あると言ってもよいでしょう。 ですがデメリットは報酬が発生することで、仕方のないことなのですが月々に 20,000円〜の出費は避けられません。 素人に実費だけの無料に近い報酬でやってもらうか、それともプロに依頼して 有料だけど質の高いサービスを受けるか、これは悩みます。 自炊をするか、外食をするかに通じる難問で、どちらが正しい選択かはそれぞれ の置かれた状況によるでしょうから、まわりの人とも相談して決めましょう。
成年後見制度において親類以外の方、いわゆる第三者後見人を採用する割合は
年々高まっていますが、当初は大部分を身内の方が占めていました。
やはり他人に財産管理を任せることに抵抗のある人が多かったのでしょう。
ですがここ近年では専門職後見人という言葉もよく耳にするようになってきて、
第三者後見人の割合はついに50%を超える時代となりました。
誰もが身内の方に後見人を任せているなら自分もそうする、というのが普通ですが、
「隣の家のおじいさん、司法書士の先生に後見人を任せているそうよ」とかの話が
井戸端会議で持ち上がる回数が増えてくれば、「あら、じゃ今度うちもお願いして
みようかしら」となるのも必然でしょう。
そうして徐々に第三者後見人が知れ渡るようになり、今では2人に1人は身内
以外の方が後見人を務めるようになったのです。
もう珍しい存在ではなくなったので誰も不安になったりすることはないでしょうが、
もしも身近に適任者がいなさそうな場合は第三者後見人という選択があることも
思い出して、躊躇することなく採用してもいいでしょう。
今後も専門職後見人の比重は高まりそうな予感がしますし、ひょっとしたら専門家
の数がこのままでは不足するのではないかとも言われています。
それほどに信頼され需要の高まっている専門職後見人ですから、初めての後見人
に選んでもなにひとつ問題はないでしょう。